九州唯一の農村歌舞伎として知られる日之影町の郷土芸能「大人(おおひと)歌舞伎」の桜公演が4月25日、同町岩井川の大人歌舞伎の館で行われ、県内外から詰めかけた約200人の観客が、会員らの熱演に喝采を送りました。主催は大人歌舞伎保存会(山本唯仁=やまもと・ただひと=会長、約29人)。
大人歌舞伎は、九州唯一の農村歌舞伎として平成7年(1995)3月、県無形民俗文化財に指定されています。歌舞伎が好きだった城主・甲斐宗攝(そうせつ)を偲び、大人地区の住民が芝居を通じて供養したのが始まりとされています。
公演は春と秋の年2回行われており、春の桜公演は今年で14回目を数えます。秋は地元の大人神社秋祭りに合わせた奉納演芸として行っています。会員らは今回の公演に合わせ、3月から毎夜練習に励んできました。
保存会員による祝いの舞「寿三番叟(さんばそう)」の後、甲斐寿文(かい・ひさふみ)大人公民館長の歓迎あいさつ、宮本卯午蔵(みやもと・うごぞう)座長による口上などに続き、幕間(まくあい)に地元住民による舞踊などを挟みながら、保存会会員が「絵本太功記 二段本能寺の場」、「白波五人男 雪の下浜松屋の場」、「白波五人男 稲瀬川勢揃いの場」の3本を熱演しました。

絵本太功記は江戸中期にできた歌舞伎の演目で、「本能寺の場」は織田信長(歌舞伎では小田春永)が明智光秀(同じく武智光秀)に討たれた本能寺の変を題材にしています。


白波五人男は日本駄右衛門(にっぽんだえもん)をリーダーとする、個性的で粋な5人の盗賊たちが登場する人気演目です。「雪の下浜松屋の場」では、女装していた弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)が悪事を暴かれため、美しい娘からいっぺんして肌を露わにして刺青を見せ、「知らざぁ言って聞かせやしょう〜」と啖呵を切る場面が有名です。


「稲瀬川勢揃いの場」では、日本駄右衛門、弁天小僧菊之助に加え、忠信利平(ただのぶりへい)、赤星十三郎(あかぼしじゅうざぶろう)、南郷力丸(なんごうりきまる)の五人男が番傘を持って勢揃い。捕手(とりて)に囲まれながら、一人ずつ個性的な見得とセリフを披露しました。
時折、地元ならではのギャグを挟みながら、舞台上で堂々と立ち回る役者達の姿に、観客席は笑い声があふれ、見せ場では惜しみない拍手喝采が送られました。













