「今日からできる 健やかな暮らしのヒント」と題した地域包括ケアセミナー講演会が4月4日、延岡総合文化センターで開かれました。漢方医学の第一人者で東京慈恵会医科大学痛み脳科学センターの上園保仁(うえぞの・やすひと)センター長が、漢方薬を中心に免疫力アップや体調管理のコツ、安心を支える医療について分かりやすく紹介しました。
このセミナーは延岡市出北のみらいデンタルクリニック(竹尾保孝院長)が主催して開催しており、今回で3回目です。2017年に第1回、翌年に第2回を開催しましたが、その後のコロナ禍の影響などもあり、今回8年ぶりの開催となりました。
上園センター長は延岡市出身の医学博士で、延岡西高校から産業医科大学に進み、同大大学院博士課程を修了後、同大講師、長崎大学准教授などを経て、国立研究開発法人国立がんセンター 研究所がん患者病態生理研究分野分野長として11年間にわたって漢方薬を活用したがん患者の症状や副作用改善などを研究してきました。2020年から東京慈恵会医科大学医学部疼痛(とうつう)制御研究講座特任教授となり、2024年から現職を務めています。

講演会は2部構成で、第1部は「免疫力を高め、体質改善できる漢方・サプリメントの応用」と題し、2部では「支え合う医療〜多職種連携が支える安心の現場〜」と題して講演しました。
第1部で上園センター長は、「漢方薬は中国の生薬を基盤として、日本人の特質に合わせて作られた日本のオリジナル。西洋医学が得意なところもある。漢方医学が得意なところもある。口内炎とか倦怠感はなかなか薬がない。冷え性、こむら返りの薬もないが、漢方薬の方が効くという症例や病名もあります」とした上で、上園センター長らがその効能、科学的根拠について明らかにした「六君子湯(りっくんしとう)」と「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」について、詳しく説明しました。
六君子湯は疲労、食欲、気力・覚醒を改善・維持する漢方薬で、胃で作られるグレリンという元気と食欲を上げるホルモンを増強してくれます。人参養栄湯は体力低下・倦怠感を改善してくれる漢方薬で、脳で作られ覚醒、元気の源となるオレキシンという物質を増強する働きがあります。
上園センター長はそれらの効能、役割を詳しく解説し、「たくさんの漢方薬、対応できる漢方薬があるというのが分かってきました。残念ながら漢方薬でがんは治りませんが、抗がん剤とか放射線治療時の痛みを取ったり、吐き気を取ったり、。食欲不振を回復したりする。そしたらまた治療しようかとやる気になる。抗がん剤治療が予定通り進み、完遂(かんすい)できる」などと話しました。
また、科学的根拠に基づき作用が明らかなオススメのサプリメントとして、神経を蘇らせる物質がたっぷり入っている「ヤマブシタケ」というキノコの存在を紹介しました。
第2部では、がん治療を支える上での多職種連携の重要性を、漢方薬が君・臣・左・使(くん・しん・さ・し)という4つのグループの生薬の組み合わせでできていることを紹介しながら、「君薬は作用の中心的な役割の存在、ほかの生薬と組み合わせることでさらに効能が上昇する。君薬の作用を補助するのが臣薬で、作用を強める。左薬は君臣薬の効能を調整し、副作用を軽減する。使薬はサポーター的に調整する。こういった組み合わせで作られている。同じ人がいても、あるプロジェクトではトップにいれば、あるプロジェクトでは支える側に回る。私たちの世界ではこれが重要。こういう考え方で、いつも医師が一番ではないと考えつつ物事を回していくことが大切」などと強調しました。












