西南戦争激戦地・和田越の戦争遺構を調査  延岡市無鹿町の牧野さんが自費出版

延岡市無鹿町在住の牧野義英(まきの・よしひで)さん(69)がこのほど、西南戦争最後の激戦地となった和田越周辺の戦争遺構について調査分析した結果をまとめた書籍「西南戦争 和田越ノ戦を語る戦争遺構」を自費出版した。A5判261ページで、税抜き1500円。延岡驛前複合施設エンクロスの蔦屋書店、県北の道の駅などで販売する。発行・販売元は0982株式会社。

牧野さんは同市稲葉崎町出身。昭和49年に延岡市役所に入り、納税課長、国民健康保険課長、消防本部次長などを歴任し、平成22年3月、消防長を最後に退任した。退任後は延岡市史編さん委員なども務めている。

発刊した書籍は、全10章構成。無鹿山から和田越、小梓峠、長尾山一本松まで約3キロの稜線沿いに残る砲塁、塹壕、堀切・竪堀、切岸など67カ所(薩軍18・官軍48・不明1)を独自調査した結果を中心に、西南戦争の経過・動員兵力及び戦死者、大峡町の民家に残る伝承、薩軍捕虜3千人が隔離された島野浦島の伝承など多岐にわたり、143年前の激戦を今に伝える貴重な資料となっている。

平成30年にNHK大河ドラマで「西郷(せご)どん」が放映され、西南戦争に対する関心が高まるなか、子供時代に小梓峠などで遊んだ時に感じた違和感や、和田越決戦の記念碑の上にある平坦な開削地、自宅近くの無鹿山にある縦穴などの存在が蘇った。「小梓峠は溝が3本あって歩きにくく、子供心に不自然だと思っていた。無鹿山の縦穴も、大雨が降っても水が貯まらず、何のための穴か不思議だった」という。

そこで、近くに住む友人・児玉敬文さんと2人で、無鹿山から長尾山一本松一帯の調査を開始。合計67カ所の戦争遺構を確認し、遺構の位置などから自分なりに分析を加え、約1年半かけて本にまとめた。

牧野さんは「これほどまとまって西南戦争の遺構が存在する所は他にはないだろう。貴重な文化遺産であり、観光資源として活用できると考える。ただ、今回の考察はあくまで私見であり、郷土史愛好家の方々には現地を踏査していただき、本書に記した私見が正しいかどうか検証していただきたい」と話している。

牧野さんは8月1日、2日、15日、16日には、和田越峠の決戦記念碑前で青空販売&執筆調査にまつわるお話し会を開催する。時間は4日間とも午前10時~正午、午後2時~同4時の1日2回。

購入に関する問い合わせは牧野さん(℡080-1750-5139)、もしくは発行所の0982株式会社(℡0982-20-0982)へ。

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