欧州の美食都市モチーフに「東九州バスク化構想」を宣言  県境越え延岡・佐伯が「食」で連携 

世界一の美食の街とされるサン・セバスチャンを擁するフランス・スペインにまたがるバスク地方をモチーフに、延岡市と大分県佐伯市が県境をまたいで連携し、国内有数の美食エリアを目指す「東九州バスク化構想」がスタートします。両市の市長、経済界、観光協会の代表らが5月19日、延岡市役所で記者会見し、両市長がバスク化宣言文を読み上げ署名を交わしました。

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サン・セバスチャンはバスク地方の港湾都市。人口18万人で、空港から1時間半と離れている場所にありながら、海幸、山幸に恵まれ10年で世界一の美食の街に成長したといわれています。100以上の美食倶楽部があり、世界のベストレストラン50のトップ10に常にランクインし、ミシュランの三つ星が5店あります。

延岡市は、発祥地であるチキン南蛮はじめご当地グルメの宝庫として知られ、昨年11月のエンジン01で食のポテンシャルが高く評価されました。佐伯市も食のまちづくり条例を定め、“味力全開”をキーワードに食のまちづくりを推進しています。いずれも海、山、川の幸が豊富で、以前から日豊経済圏や東九州伊勢えび海道など県境を越えた連携が強く、東九州自動車道の開通を契機に、食をキーワードにした連携を深め、新たな経済・文化圏の形成を目指すのが狙いです。

エンジン01の大会委員長を務め、同日、延岡市の「食」のまちづくりアドバイザーに就任した料理評論家の山本益博さんからサン・セバスチャンの存在を聞いた首藤正治延岡市長が着想。両市で構想を固め、国の地方創生加速化交付金に採択されました。

構想では「海と大地を一皿に」をキャッチコピーに、「県境を越えた三つ星美食エリアへの挑戦」を掲げ、生産者、料理人、食べる人々の三つ星が光り輝く地域であり、土地の恵に敬意を払い、一皿の料理に感謝して「おいしく食べる」美しさを、“美食”とします。当面の目標は5年後で、サン・セバスチャンを参考に産官学が連携し、飲食業界等の人材育成、高付加価値農産物の開発、地元素材を活用した新商品開発、食に関するツアーの造成などを通じ、「食」をテーマとしたまちづくりを進め、「食」の魅力発信による人の流れを創出していきます。

今年度の事業費は9833万5000円(うち交付金7325万2000円)。具体的には人材育成、基盤強化、気運醸成、人の流れ創出、プロモーションの5つの事業を柱に、リーダーやキープレーヤーの育成、両市の「食」のまちづくりの機運と一体感の醸成、エリア外からの誘客の推進など22の事業を展開します。

会見で首藤市長は「辺境の地とされてきた両市は、東九州自動車道の開通で新しい時代の幕開けを迎えました。この地域が『食』に関して魅力ある地域であることが認識され日本中、世界中にその名なとどろくような取り組みにしていきたい」、佐伯市の西嶋泰義市長も「海の幸、山の幸を生かしながら、今までアピールできなかった観光面での魅力、素晴らしさを発信していきたい」と抱負を述べました。

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