延岡市は6月29日、建て替えを計画する内藤記念館の基本設計の概要を発表しました。「延岡の歴史を学び継承し、未来を創造する拠点」をコンセプトに、現在の記念館の約2・4倍の施設面積を持つ本棟のほかに、市民の文化活動の交流拠点となる和室棟を建設。日本庭園の再整備にも取り組みます。工事は平成32年度までに完工予定ですが、文化庁の指針に従い、建築材から文化財に影響を与えるアルカリガスなどが出なくなった後に、開館に踏み切る方針です。総事業費は約30億円を見込んでいます。定例記者会見で首藤正治市長が明らかにしました。
基本設計によると、本棟は鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積3368平方メートル。そのうち展示スペースは1271平方メートルで現在の約2・1倍、収蔵スペースも約5・8倍の691平方メートルに広がります。
1階は東西両方向からアクセスでき、団体見学者が集えるエントランスホールを確保し、「神話ゆかりの地」や「郷土芸能」などを紹介するほか、美術展の開催が可能な企画展示室を設けます。収蔵庫も1階に配置します。
2階には、延岡の歴史をたどれる平常展示室を配置。時代別に住居などを復元し当時の暮らしを体験できる体験展示室や、城山を臨む展望ロビーを設けます。
和室棟は木造平屋建て、延べ床面積192平方メートル。日本庭園を取り囲むように配置し、内藤家旧邸の設えをモチーフにした広間・次の間や、外部に面した立札席などを設け、茶道・華道など多様な市民活動が行え、市民が気軽に利用しやすい交流スペースとします。
日本庭園は、既存の植裁を活かしながらも、格式ある日本庭園を再整備し、本棟や和室棟からの景観を回復させます。
内藤記念館に関しては、平成26年度に再整備の基本構想・基本計画を策定し、27・28年度の2カ年で基本設計、展示基本設計が完工。今年3月末に現在の施設を閉鎖し、市役所南別館に文化課事務室を移転。今月17日から南別館内に展示室をオープンしています。
首藤市長は「市外から来られた人が見甲斐がある施設、市民が自分たちのまちの歴史に誇りを感じる施設になれば」と期待を寄せています。