延岡市須佐町(すさまち)の勇壮な火祭り、「歳頂火」(せとき)が2月20日夜、熊野神社の境内で行われました。心配された雨も上がり、地区住民ら約400人が見まもる中、ヤマに移された火は巨大な火柱となり、1年間の罪やケガレを焼き払いました。
新しい年の無病息災と五穀豊穣を願う行事で、1300年の伝統があります。本来は旧暦1月15日の小正月(こしょうがつ)の前日に行われていましたが、最近は小正月に一番近い土曜日に実施されています。これまで1度も欠かさず受け継がれ、灯火管制がしかれた戦時中は、真昼間に行われたそうです。
午後6時半から熊野神社の神殿で神事があり、氏子らが神前に玉串を捧げたあと、玉置重徳(たまおき・しげのり)宮司が、木のロクロを使って火を起こしました。
採火された火は、行灯(あんどん)に移され、さっそく玉置宮司が、社殿下の歳頂火ヤマに点火。パチパチと音をたて、アッという間に巨大な火柱となって、漆黒の夜空を焦がしました。歳頂火ヤマを取り囲んだ見物客は、あまりの熱さに後ずさりしながら、立ち昇る炎を見上げていました。
見物に訪れた人たちの楽しみは、モチ焼きです。竹串にさして焼いたモチを食べると、その年は病気をしないという言い伝えがあり、3メートルほどの竹串の先に刺したもちを火柱にかざして焼く姿があちこちで見られました。
歳頂火は、豊作祈願の行事でもあり、灰を持ち帰って田んぼや畑にまくと、その年は豊作になるといわれています。