9月23日、延岡城・内藤記念博物館がオープン 開館記念特別展開催

延岡市が建て替えを進めてきた旧内藤記念館が9月23日、「延岡城・内藤記念博物館」として開館します。開館を記念し同日から特別展「譜代大名 内藤家〜その歴史と名宝〜」が開催されます。11月6日まで。

 

同館は市の歴史文化ゾーンの中核を担う施設で、「延岡の歴史を学び継承し、未来を創造する拠点」がコンセプト。旧施設の約2・4倍の施設面積を持つ本棟のほかに、市民の文化活動の交流拠点となる和室棟が新設され、隣接するカルチャープラザ側からのアクセスとなるエレベーターも設置されました。

 

本棟は鉄筋コンクリート造・一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造の2階建て。延べ床面積3381平方メートルで、展示スペースは旧施設の約2・1倍、収蔵スペースも約5・8倍に広がりました。外壁や1階の企画展示室入り口の壁を、内藤家が日平銅山から産出される銅の残滓(ざんさい)で製造していた〝カラミレンガ〟風にしたほか、館内の天井にヒノキ、壁にスギといった市産材をふんだんに使用しました。

 

1階は東西両方向からアクセスでき、団体見学者が集える広々としたエントランスホールを確保したほか、美術展などの開催が可能な企画展示室、情報ラウンジ、収蔵品の特性にあわせた温湿度管理が可能な3つの収蔵庫、書庫、研究室、作業室、会議室、事務室などを配置しています。

 

特にエントランスホールは、床に6メートル×4・8メートルという巨大な延岡市の航空写真を配置したほか、西側の壁面に史跡や郷土芸能、神話ゆかりの地などを100枚のパネルで紹介しています。また、北側壁面には、収蔵品や市の魅力を写真や映像で紹介できるタッチパネル式の70型大型モニターを設置。企画展示室には多様な企画展、特別展示、巡回展などに対応するため、自由に可動して間仕切りや展示壁となる〝スライディングウォール〟が完備されています。

 

2階には体験展示室、平常展示室、ボランティア室などがあります。体験展示室では、竪穴式住居、旧記念館敷地内にあった茅葺き古民家「静思庵」の内部、船倉町にあった市営アパート「薫風荘」の内部を再現し、古代から近現代に至る市民の暮らしを体感できるようにしました。

 

平常展示室は約700平方メートルの広さがあり、先史時代から中世、江戸時代の歴代藩主、近現代などの史資料を展示し、延岡の歴史や暮らしの変遷などをたどれる仕組み。ゆかりの美術工芸品・民俗芸能、ゆかりの偉人に関する展示もあります。階段のある展望ロビーや企画展示室からは、城山城址の〝千人殺しの石垣〟が一望できます。

 

和室棟は日本庭園を囲むように配置され、木造平屋建てで約200平方メートルの広さがあります。茶道、華道など多様な文化活動や、各種団体の自主活動、イベントなどに利用できます。

 

開館記念特別展では、延岡への転封により、最北端の譜代大名から最南端の譜代大名となった内藤家が、明治を迎えるまでの歴史を様々な資料から紹介するとともに、重要美術品に認定されている太刀や天皇からの宸翰(しんかん)や徳川将軍家直筆の書画、国立科学博物館所蔵の銅製天球儀「渾天新図」など、これまで一般には公開されてこなかった内藤家伝来の貴重な品々を公開します。

 

開館時間は午前9時〜午後5時、毎週月曜休館(祝日の場合は翌日)。本館への入場は無料ですが、企画特別展は一般500縁、高大生300円の観覧料(中学生以下無料)で、初日の23日は午後1時開場となります。

 

また、23日午後2時からはカルチャープラザのべおか3階ハーモニーホールで「開館記念講演会」が開催されます。市学芸員の増田豪さんが「延岡の歴史を学び継承し、未来を創造する拠点 延岡城・内藤記念博物館」と題して講演するほか、元明治大学博物館事務長の伊能秀明(いよく・ひであき)さんが「こんなに面白い延岡城・内藤記念博物館」と題して講演します。定員は先着400人、申し込みは電話(電話0982-21-7110)、FAX(0982-20-3250)、メール(contact@nobeoka-museum.jp)で。詳しくは同館。

明治25年に西ノ丸にできた内藤家邸宅

【延岡城・内藤記念博物館の沿革】

慶長8年(1603) 高橋元種が延岡城を築城する

元和元年(1615)頃 有馬直純が延岡城西之丸に居館を構える

           以降、歴代当主は西之丸を居館とする

明治4年(1871)  廃藩置県に伴い、居館が取り壊される

明治25年(1892) 旧藩主・内藤家が西之丸跡地に邸宅ヺ建設

昭和14年(1939) 内藤家が延岡市に邸宅と敷地を寄付

          延岡市はこれを内藤記念館として公開

昭和20年(1945) 延岡大空襲により内藤記念館が焼失

昭和38年(1963) 市制施行30周年記念事業として建設された、市民会館「内藤記念館」が開館

平成4年(1992)  一部リニューアル工事を行い、歴史民俗資料館としての機能を拡充

平成29年(2017) 内藤記念館を市役所南別館に移転し、元の建物を解体する

令和4年(2022)9月 延岡城・内藤記念博物館が開館

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