命や平和の大切さに思いを馳せた1日に  『平和の日』延岡の集い

 

日本ペンクラブ(浅田次郎会長)が主催する「第32回『平和の日』延岡の集い」が3月5日午後1時から、延岡総合文化センター大ホールで開かれました。浅田会長、宮崎市出身の花田景子さんら8人の会員が2人1組となり、「子ども」、「いのち」などをテーマに、戦争体験や日本の神話が教えてくれる教訓、平和の尊さなどについてリレートークを繰り広げました。

日本ペンクラブは、ロンドンに本部を持つ国際ペンの日本センターとして、言論の自由を守るために活動しています。島崎藤村を初代会長に1935年11月26日に創設され、日本を代表する詩人(歌人・俳人)、劇作家、随筆家、評論家、編集者、小説家が所属している文化団体(一般社団法人)です。

「平和の日」は1984年に日本で開催された「第47回国際ペン東京大会」で設定され、翌年から毎年3月3日前後に世界中で行われている平和を希求するキャンペーンで、県内での開催は初となります。延岡の集いは、延岡市と宮崎県でつくる実行委員会と日本ペンクラブが主催し、事前公募で参加した約1600人が会場を埋めました。

加賀さん(左)と澤地さん

加賀さん(左)と澤地さん

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作曲家・ピアニストの森ミドリのピアノ演奏でオープニング。リレートークでは、作家の澤地久枝さんと加賀乙彦さんが「子ども」、芥川賞作家の新井満さんと作家の吉岡忍さんが「いのち」、宮崎市出身でエッセイストの花田景子さんと日本比較文学会会長の中西進さんが「神話」、浅田会長と映画監督の山本晋也さんが「自由」をテーマに対談しました。

澤地さんと加賀さんは戦前生まれですが、国内にいた加賀さんに対し澤地さんは満州で育ちました。2人はそれぞれの幼年時代を振り返りながら、「名古屋の陸軍幼年学校にいた時に、大空襲で名古屋城が燃えるのを目の前で見ました。後に焼け跡に行くと多数の市民の死骸が片づけられずに道路脇に横たえられていました。その実情をこの目で見たとき、戦争はこんなにも残酷なものなのかと思いました」(古賀さん)、「日本が(戦争に)負けた時には『神風は吹かなかった』と思うような生意気な女の子でしたが、当時どれだけひどいことが行われていたのかは覚えています。皆さんも幼いころを思い出して今の時代の平和について考えてほしい」(澤地さん)などと話しました。

荒井さん(左)と吉岡さん

荒井さん(左)と吉岡さん

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荒井さんは自ら作詞作曲した「千の風になって」を素晴らしい歌唱力で披露。吉岡さんは東日本大震災の被災地を巡る際に作った詩を、荒井さんが事前に用意していたメロディに合わせて朗読しました。

中西さん(左)と花田さん

中西さん(左)と花田さん

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花田さんと中西さんはニニギノミコトの天孫降臨、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの出逢いと結婚、海幸彦と山幸彦(ホオリノミコト)など延岡にも縁深い日向神話を紹介しながら、「山幸彦と海幸彦の話は猿カニ合戦と同じ。日本の古代の変遷を語っている。神話は一つの教科書」(中西さん)などと指摘しました。また、花田さんは「相撲が神様の存在と深く結びついた競技で、様式美があり、そのすべてに意味が込められています」と話しました。

山本さん(左)と浅田会長

山本さん(左)と浅田会長

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山本さんと浅田会長は「自由」をテーマに、映画の話や戦争について語り合い、「3月10日の東京大空襲は防空壕で見ていました。空が見えなくなるほどB29が飛び交い、下町は朝まで夕焼け状態でした」(山本さん)、「戦争は常に進化している。今度起こるとしたら質も形も今までの戦争と全然違うものになるだろう」(浅田会長)と警鐘を鳴らしました。

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