飲酒運転の撲滅や自転車の交通ルール遵守などを重点項目とする「令和8年春の全国交通安全運動」が4月6日、スタートしました。6日から15日まで11日間の日程で、特に今月から導入されたばかりの自転車の交通反則通告制度、いわゆる「青切符」についての周知徹底などを図ります。
延岡市では初日の6日、延岡総合文化センターで開始式が行われました。関係団体や民間企業などから約300人が出席し、延岡市「めひかり交通安全」対策本部長の三浦久知市長らのあいさつに続き、公益財団法人みやざき被害者支援センター理事で、息子を交通事故で亡くした経験を元に交通事故根絶を目指し各地で講演活動を行う笹森義幸(ささもり・よしゆき)さんが、「息子のために、天国からの命のメッセージ」と題して基調講演しました。

最初にあいさつした三浦市長は、「4月という季節は新しいスタートを切る時期であると同時に、多くの危険が潜む状況にある時期ではないか、気の緩みが発生する時期ではないかと思います。めひかり交通安全対策本部では民間企業の皆さん、団体の皆さんと今後も連携を深めながら、交通安全をしっかりと行っていきたい。一人ひとりの気持ちを一つに我々とともに行動していただけたらと」と呼びかけました。

延岡警察署の寺田健一署長は、昨年の県内の交通事故死亡者は34人で依然として30人を越える厳しい状況が続いており、延岡署管内でも3人の尊い命が失われ、今年に入っても3月に1人が亡くなる事故が発生し、悪質な飲酒運転では既に10人の検挙者がいる状況を説明しました。
その上で、期間中の重点項目として「通学路・生活道路におけるこどもを始めとする歩行者の安全確保」「『ながらスマホ』の根絶や歩行者優先等の安全運転意識の向上」「自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底」「脇見・ぼんやり運転等の追放」の4点を挙げ、「多くの警察官を投入し、通学児童の交通安全確保をはじめ、重点項目に沿った活動を強力に推進し、延岡市から悲惨な交通事故を1件でも減らせるよう交通事故抑止に向けた各種活動に全力で取り組んでまいります」と宣言しました。
基調講演した笹森さんは、国冨町で肉用牛の一貫経営に取り組み、農林水産祭表彰式典で内閣総理大臣賞を受賞するなど、県内屈指の畜産農家でもあります。2002年12月に当時中学1年生だった長男・郁也(ふみや)さんを突然の交通事故により失いました。郁也さんの事故現場付近に慰霊碑を建て「ふみやの森」と名付けたほか、自分たちの体験談を話すことで、交通事故で悲しい思いをする人や、やり場のない悔しい思いをする人が一人でもいなくなるようにという思いで講演活動を続けています。
講演ではまず、郁也さんの事故の状況や笹森さんら遺された家族の思いを教訓とするため、宮崎県交通安全協会が映像化したビデオを見ました。それによると、野球部だった郁也さんは友人と2人で一列になって自転車を押しながら家路を目指して薄暗くなった坂道を上っていた際、対向してきた軽トラックがスピードの出し過ぎでカーブを曲がりきれず郁也さんに激突し、全身を強く打った郁也さんはそのまま県立宮崎病院に運ばれましたが、17時間後に帰らぬ人となりました。
講演の中で笹森さんは、「自分の子どもを亡くすということがこんなにも辛く苦しいものかとヒシヒシと感じています。1日たりとも息子のことを忘れることもないし、忘れたらいかんと思っています」と前置きした上で、事故の一報を聞いて病院に駆け付けた際の家族や取り巻く人たちの様子などを振り返り、未来ある若者の命を一瞬で奪った交通事故がどれだけ多くの人に深い悲しみや無念さをもたらすのかを切々と語りました。
最後に「僕は郁也から命に代えて大事なことを教わりました。『お父さん、明日生きちょるか分からんちゃき、今日のことは今日しちょきないよ』。それまでもそういった生き方をしてきたつもりですが、僕はこの子を亡くしてから、今こうやって話している時に倒れて死んだとしても僕の人生に悔いなし、という生き方をしています」と結びました。










