延岡市はリチウムイオン電池の研究・開発で昨年、ノーベル化学賞を受賞した旭化成株式会社名誉フェローの吉野彰さん(72)に名誉市民の称号を贈ることを決めた。3月18日の市議会3月定例会に提案し同意された。同市の名誉市民は5人目。
吉野さんは、京都大学工学研究科修士課程を修了後、旭化成に入社。1999年の日本化学会「化学技術賞」受賞をはじめ、紫綬褒章、日本国際賞、欧州発明家賞など数多くの賞を受賞し、2019年12月10日にリチウムイオン電池に関する研究開発の功績が称えられ、ノーベル化学賞を受賞した。
吉野さんは延岡市民ではないが、名誉市民条例に定める基準「公共の福祉増進、社会公益上に偉大な貢献をなし、その功績が顕著である市民、市に縁故の深い者」に当たるとして、読谷山洋司市長が2月中旬に吉野さんの打診し承諾を受けている。
読谷山市長は「吉野さんの技術、製品の確立に当たっては、延岡での実験、延岡で生産されている素材活用が大きく関わっており、延岡なくしては生まれなかったと言っても過言ではない。延岡に非常に縁の深い方。旭化成を中心とした延岡の地場企業でも日夜研究開発に努力されている方がたくさん住んでおり、その方々の光明となっている」と説明した。
市は、吉野さんの受賞記念講演会を今月30日に予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっており、終息後に講演を依頼していく方針という。吉野さんは「延岡市は旭化成のふるさとであり、私にとってはノーベル賞の受賞につながる重要な実験に成功した思い出の地。今後も微力ながら市の発展に貢献し、共に成長してまいりたい」とコメントしている。
これまでの延岡市の名誉市民は、▽故・三浦虎雄氏(第5・6・10代市長)▽故・仲田又次郎氏(初代・第9代市長)▽故・宮崎輝氏(旭化成工業代表取締役社長・会長)▽故・内藤政道氏(旧延岡藩主内藤家当主)の4人。