延岡市議会は9月13日の本会議で、水道料金を引き下げる市長提案の条例案に対し、消費税2%分の引き上げとなる修正案を提出し可決した。これを受けて読谷山洋司市長は同日記者会見し、市長提案の条例案と市議会が可決した修正案の考え方や内容、水道料金の差などについて市民に説明するとともに、広く意見を聞くための「市民説明会」を開く方針を明らかにした。読谷山市長は「議会が可決した修正案では、昨年の7月に14・9%水道料金が上がったばかりで、2年連続の値上げになる。市民生活、中小事業者、市内の企業への影響を考えると、当初提案した計画通りの耐震化を着実に行うことと、水道料金の引き下げの両立を図ることが最適だと考えている」と強調。その上で、地方自治法では議会の議決に異議があるときは、議会に対して10日以内に議決のやり直し、再議を求めることができることから、「説明会などを通じ市民の意見を最大限聞き、様々な意見を総合的に勘案しながら今後の対応を判断したい」と述べた。
説明会は9月17日と18日の午後7時から、市役所2講堂で開催する。同時に13日から市のホームページでも資料が閲覧できるようにし、電子メールによる意見を受け付ける。
9月定例議会初日に市長が提案した条例改正案は、すでに決定している老朽化した水道管の耐震化などの計画を変更することなく、新たに国の財政支援制度を活用し1億8640万円分の水道料金を引き下げるというもの。これにより水道基本料金の12月使用分からが税抜きで平均2・53%、税込みで0・77%引き下げにつながる。
引き下げを提案した理由として、①10月1日からの消費税引き上げにより市の使用料・手数料が引き上げられ、市民や市内の中小事業者などに大きな影響を与えることから、すべての使用料・手数料について趣旨や目的に照らして現在の水準が妥当かどうか全庁的な点検を行ってきた。
②水道料金は、平成29年12月議会で平均14・9%値上げする条例案が可決され、令和7年度までの間、施設の老朽対策や耐震化に必要な財源確保、運転資金の確保などが可能となった。
③読谷山市長就任後、引き上げ時には見込んでいなかった国の財政支援制度を活用し耐震化などに取り組むことになり、料金以外の財源として計1億8640万円が確保できる見通しとなった(うち9870万円は30年6月議会、4400万円は31年3月議会で可決)。
④この新たな財源を活用すれば、引き下げを行っても施設の老朽対策や耐震化に必要な財源確保、水道事業運営のための運転資金確保が可能となる――などをあげている。
これに対し議会側は、①消費税増税による市民生活への影響は憂慮するが、市民の命をつなぐ上水を南海トラフなどの災害発生時に供給できる体制を整えるため、一刻も早い水道施設の耐震化を進めることも議員の責務②「市民生活の負担を減らすこと」と「市民生活の安全安心のために投資すること」のどちらを優先すべきかは、非常に難しい判断を伴うため、多くの市民から意見を聴いた上で慎重に判断すべきもの③料金引き下げの是非について現時点での判断は時期尚早――などとして、これらを趣旨とした附帯決議を付けた上で、水道料金引き下げではなく、消費税アップに伴う値上げ分について条例を改正する修正案を提案、賛成多数で可決した。
読谷山市長は選挙時の公約の一つとして、水道料金の値上げの凍結を掲げ、就任後の平成30年3月議会で前年12月議会で決まった料金引き上げを見直す条例案を提案したが、議会の反対で否決され、昨年7月から料金が平均14・9%値上げされた経緯がある。
市民説明会は2日間とも同じ内容で、どちらかに参加すればいい。説明会に関する問い合わせは市上下水道局業務課(電話0982-21-6486)へ。