若手の登竜門とされる「第57回延岡西日本マラソン」は2月10日、延岡市役所前を発着点に日向市原町を折り返す42・195キロの日本陸連公認コースで行われ、終盤38キロ過ぎでスパートをかけた須河宏紀選手(東京・サンベルクス)が大会歴代4位となる2時間11分46秒の好タイムで初優勝を飾った。女子も妹の須河沙央理選手(東京・オトバンク陸上競技部)が自己ベストの2時間44分40秒で制し、初の兄妹Vという偉業を達成した。V3に挑んだ地元・旭化成の松尾良一選手は、終盤35キロ過ぎまでトップを争いを演じたものの、その後須河選手らに抜かれ、無念の4位に終わった。
大会には招待選手10人を含む577人(男子545、女子32)が出走。スタートの正午の天気は晴れ、気温10度、湿度53%、東風、風速4・9メートル、折り返し点の日向市の午後1時では気温10・7度、東北東の風、風速1・6メートルと絶好のコンディションに恵まれた。ペースメーカーの本田匠選手(旭化成)を先頭に、中盤までは大会記録を上回るハイペースで進んだ。
レース序盤はペースメーカーの本田匠選手(旭化成)を先頭に、須河選手、松尾選手に加え、安井雄一選手(トヨタ自動車)、柴田拓真選手(小森コーポレーション)、栃木渡選手(日立物流)といったルーキー組、小森コーポレーションの中堅・郡司貴大選手らが先頭集団を形成。
1キロ3分前半のラップタイムを刻む順調なペースで、本田選手が抜ける25キロまで大会記録を上回るハイペースのレース展開となった。
先頭集団は野田一真選手(大塚製薬)、郡司選手、柴田選手、松尾選手、安井選手、須河選手ら8人に絞られ、30キロ過ぎの給水地点で松尾選手がまずスパート。すぐ反応した安井選手、郡司選手、須河選手が続き、その後は離されては追いつき、また誰かが仕掛けるといった4人による激しいデッドヒートが続く。
33キロ過ぎで安井選手が前に出たが、3人を引き離せず、逆に34キロ手前で遅れ始めた。
勝負が動いたのは35キロ過ぎ。マラソン5回目の郡司選手がペースを上げると、須河選手は反応しすぐ追いつくが、苦しい表情の松尾選手が次第に遅れだした。コースが市街地入りした終盤38キロ地点で、今度は余力を残していた須河選手がスパート。2人の差がどんどん開き、そのまま初優勝のゴールに飛び込んだ。
2位にはいったんは遅れたものの、粘りの走りで松尾、郡司選手をかわした安井選手が入った。
自己ベストを大幅更新しての優勝に須河選手は「後半勝負だと思っていたので、揺さぶりに付き合わずマイペースを心がけて走ったのが良かった。最後の5キロからが勝負だと思っていた。38キロでは、ここからだったら付かれてもラストの直線で勝てるかなと思って仕掛けた」とレースを振り返った。
女子の部でも1歳違いの妹の沙央理選手が2時間44分40秒の自己ベストで優勝しており、「10年ぶりぐらいに同じレースを走った。こんな機会はそんなにないし、2人ともしっかり結果を出せて良かった」と喜んだ。
沙央理選手も「兄妹Vは素直にうれしい。兄は一番のライバルだが、今回は兄の優勝の方が価値があると思う」と話した。
上位の成績は次の通り。
【男子】①須河宏紀(東京・サンベルクス)2時間11分46秒②安井雄一(愛知・トヨタ自動車)2時間12分39秒③郡司貴大(茨城・小森コーポレーション)2時間12分55秒④松尾良一(宮崎・旭化成)2時間13分26秒⑤野田一貴(徳島・大塚製薬)2時間14分31秒⑥柴田拓真(茨城・小森コーポレーション)2時間15分21秒⑦栃木渡(千葉・日立物流)2時間15分25秒⑧松本伸之(愛知・愛三工業)2時間17分22秒⑨有馬圭祐(福岡・九電工)2時間18分17秒⑩五十嵐真悟(埼玉・城西大学クラブ)2時間19分38秒
【女子】①須河沙央理(東京・オトバンク陸上競技部)2時間44分40秒②宇都宮尚代(大分・RT別府)3時間3分2秒③松本寿美(大阪・大阪陸協)3時間8分22秒④田中典子(福岡・ミリカAC)3時間17分0秒⑤富奥裕子(鹿児島・鹿児島陸協)3時間18分1秒⑥近藤亮子(千葉・千葉陸上競技協)3時間21分52秒⑦高木亜州加(福岡・福岡陸協)3時間22分49秒⑧堤万亜子(福岡・糟屋郡陸協)3時間23分10秒⑨西井清美(大阪・YMRC)3時間23分20秒⑩柚木雅子(岡山・岡山マスターズ)3時間28分26秒