明治10年の西南戦争時に西郷隆盛が宿陣した宮崎・延岡市北川町俵野の西郷隆盛宿陣跡資料館に6月7日、出身地の鹿児島市から約120人のツアー客が訪れました。
同ツアーはJA鹿児島みらいが、鹿児島市内7店舗の組合員を対象に募集した「ふれあい1泊旅行」。同日が初回で、今月12日にも約90人が来訪。18日には約90人の総勢約200人のツアーです。
同日は、バス3台に分乗し鹿児島を出発。延岡の新施設・かわまち交流館で昼食を食べた後、地元の佐藤焼酎製造場を見学し、資料館に立ち寄りました。大分・別府には泊まり、翌日、やまなみハイウェイ経由で阿蘇観光を行い帰路につきました。
西郷隆盛宿陣跡資料館(県史跡・西郷南洲翁寓居跡)は、西南戦争最後の決戦となった延岡・和田越えの戦いに敗れた西郷隆盛が、明治10年8月15日から17日夜まで宿陣した旧児玉熊四郎宅を活用。館内では薩摩軍に解散布告を出した最後の軍議の様子を人形を使って再現しているほか、当時の資料を参考に復元した陸軍大将の軍服、当時の錦絵、西南戦争の関連資料などを展示しています。
資料館前の駐車場からは、鹿児島まで帰るため西郷が部下達と夜陰に紛れて山越えした可愛岳(えのたけ)が望めます。また、資料館裏には天孫降臨で知られるニニギノミコトの陵墓参考地があり、この陵墓の存在を知っていた西郷は、官軍からの攻撃を避けるためこの場所に宿陣したと言われています。
同市は一帯を西郷隆盛の魂に触れる空間エリアと位置付け、「西郷隆盛青空テーマ館in延岡」と銘打って、環境整備やプロモーション事業を展開。NHK大河ドラマ「西郷どん」効果もあり、平成29年度は前年度の4・2倍に当たる1万4001人が入館。今年度も4月に2624人、5月に3585人が入館するなど、観光スポットになっています。
鹿児島市永吉町から参加した菊水恭子さん宅は、西郷の3人目の妻・イトの実家だった家に住んでいます。15年前に家を建て直した際には、襖の下張から古文書で多数出ており、話題になりました。その時の文書は、鹿児島市の資料館「黎明館」で公開されています。
菊水さんは「イトさんは負傷した菊次郎の看病のためにこの地に来ていたと聞き、ビックリもしたし、深い縁を感じ胸がいっぱいになりました」としみじみと話していました。