7代目と8代目の鐘守が一緒に打鐘  延岡で「城山の鐘まつり」

「時の記念日」の6月10日、延岡市の城山公園鐘つき堂で鐘まつりが開かれました。16年にわたって7代目鐘守を勤めてきた矢島茂さん(80)、征子さん(78)夫妻が昨年12月で退任し、同市北浦町出身の日高康彦さん(52)、真理子さん(47)に引き継がれるため、この日の正午の鐘は矢島さん夫妻が3回突いた後、残る9回を日高さんが突きました。

城山の鐘は明治11年から戦争で中断する昭和18年(1943)ごろまでは、毎日24時間、1時間ごとに鐘守が鐘をついて時を知らせてきました。東郷生まれの歌人若山牧水も「なつかしき 城山の鐘 鳴りいでぬ をさなかりし日 聞きしごとくに」「ふるさとに 帰り来りて まず聞くは かの城山の 時告ぐる鐘」の2首を残しています。

 

初代・鐘守は、旧藩主・内藤政擧(ないとう・まさたか)公の計らいで、稲田藤三郎さんがその任につき、以来、平成8年8月まで、稲田家が5代にわたって鐘を撞き続けました。今は24時間ではなくなりましたが、毎日、午前6時から午後5時までの1日6回、鐘を撞いて市民に時を報せています。

 

矢島さん夫妻は7代目として平成12年から大役を務めていましたが、茂さんが昨年末に体調を崩し鐘守を続けることができなくなり、市では後任の鐘守を公募。市内外から12組(市内、市外各6組)の応募があり、後任に福岡県那珂川町在住の日高さん夫妻が選ばれました。

 

日高さん夫妻は矢島さん夫妻が生活していた鐘つき堂横の鐘守官舎に住むことになります。ただ、官舎は耐震補強など大がかりなリフォームが必要で、リフォームが終わる9月ごろから正式な鐘守として業務を引き継ぐことになります。

 

鐘まつりは今年で77回目を数えます。7代目と8代目による打鐘を前に交代式が行われ、首藤正治市長らが矢島さん夫妻に記念品と花束、日高さん夫妻に新調した鐘守の法被と花束を手渡しました。

 

主催者を代表し延岡観光協会の谷平興二代表理事が「16年という長い間、7代目の鐘守として市民に時を告げていただいた矢島茂、征子さんご夫妻のこれまでのお勤めに、心より感謝とお礼を申し上げます。これからは体を大切にしてください。また、8代目の鐘守の日高ご夫妻には、城山の歴史や延岡を大いにPRしていただきたい。城山は我々延岡市民の心の古里であり、延岡観光のシンボルであります。城山の時告ぐる鐘が、愛してやまない延岡復活の時告ぐる鐘の音になりますよう心から願います」とあいさつしました。

正午の打鐘に続いて、ふれあいコーラス秋桜のメンバー18人が、延岡市歌、御本城の鐘、なつかしき城山の鐘の3曲を披露。わかば幼稚園と川中保育園の年長児総勢41人が元気に「時計の歌」を歌い、矢島夫妻に「いつも鐘をついてくれてありがとうございます。これからも体に気をつけてください」と感謝の言葉をかけました。

 

矢島夫妻を代表し征子さんが、「主人は現在入院中ですが、病気も少しずつ良くなっており交代式に出席できうれしく思います。16年間多くの人から励ましの言葉をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです」とお礼を述べました。

 

また、初めての鐘突きを終えた日高康彦さんは「自分では初めてにしてはうまく突けたのかなと思っています。実際の鐘突き業務に入るまでは時間がかかりそうですが、精一杯突かせていただきますのでよろしくお願いします」と、緊張した面持ちで感想を述べていました。

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