延岡が生んだ詩人・渡辺修三の詩碑祭(重陽忌)と、その遺徳を顕彰する第1回「ふたば賞」の受賞式が9月9日、延岡市大野町の詩碑前広場と延岡ロイヤルホテルで行われました。
渡辺修三は明治26年(1903)、延岡市尾崎町で生まれ。大正10年(1921)に旧制延岡中卒業後、早稲田大学に入学し、詩人・西条八十(さいじょう・やそ)に師事、詩人としての活動を本格化させていきました。昭和3年(1928)に詩集「エスタの町」を出版するなど詩壇の第一線で活躍し、モダニズムの騎手と呼ばれ注目を浴びました。翌年、家庭の事情で帰郷し、その後は大野町で農園を営みながら精力的に制作活動を続け、県内外の多くの詩人に影響を与えました。また、延岡の各学校の校歌の歌詞を数多く手がけ、その数は小・中・高校12校に及びます。昭和53年(1978)9月9日、74歳でなくなりました。
詩碑祭は今年で3回目。はじめに神事があり、渡辺修三顕彰会の湯浅一弘(ゆあさ・かずひろ)会長や笠江孝一市教育長ら関係者が玉串を捧げました。
神事のあと、湯浅会長は「渡辺修三先生は宮崎県の詩人の師匠であり、延岡の文化の柱。みんながその功績を知らなかっただけで、やがて延岡の文化の歴史の中で輝かしい一ページを飾るだろうと思う」とあいさつ。笠江教育長は「渡辺氏は詩壇はもとより、郷土・延岡においても大きな足跡を残された。詩碑後方にある黒岩園跡地は山紫水明の地であり、『谷間の詩人』と呼ばれた渡辺先生を象徴する場所。この縁の地で詩碑祭が行われることは大変意義深い」と市長の祝辞を代読しました。
最後に黒岩小中学校の児童生徒33人が渡辺修三が作詞した校歌を斉唱、東海幼稚園の年長児45人が詩碑に刻んである詩「天使たち」を献句しました。
「ふたば賞」受賞式を初開催
詩碑祭のあと、延岡ロイヤルホテルで第1回「渡辺修三ふたば賞」受賞式が開かれました。同賞は渡辺氏の功績を称えるとともに、次世代を担う子供たちに詩の心を育もうと、顕彰会が今年初めて創設したものです。
小学生の部95点、中学生の部57点、高校生の部33点の計185点が寄せられ、宮崎県詩の会(谷元益男会長)のメンバーによる審査で、それぞれにふたば賞3点と佳作3点ずつを選びました。また、ふたば賞全受賞者の中から、小学生の部の森山文結さん(尚学館小3年)に市長賞、高校生の部の岩切陽菜さん(延岡学園高校1年)に市議会議長賞が贈られました。
受賞者は次の通りです。
【小学生の部】
◆ふたば賞 森山文結(尚学館小3年)「ひまわり小ぞう」=延岡市長賞、福田雅月(同3年)「いますぐ食べてやる」、井上愛梨(同6年)「四季のにおい」
◆佳作 日野武(同5年)「波のうんそう屋」、安達志歩(同2年)「雨の中の日」、菊池心音(同6年)「めがねで見てみると」
【中学生の部】
◆ふたば賞 佐藤練(黒岩中1年)「おかえり」、福田晴心(尚学館中3年)「ペアルック」、佐藤文香(同3年)「踊り子」
◆佳作 甲斐愛果(同3年)「すももの季節に」、嘉茂優羽(同3年)「ありがとうの試合」、河野理人(同3年)「始まる」
【高校生の部】
◆ふたば賞 岩切陽菜(延岡学園高1年)「風と」=延岡市議会議長賞、米森円香(同1年)「ソメイヨシノ」、松葉加容(同1年)「松」
◆佳作 前田沙織(同2年)「夜空」、福原冬真(同1年)「小さな窓から見る大きな自然」、萩原凛(同1年)「日々」