松尾良一選手(旭化成)が連覇を達成――。九州3大マラソンの一つで、若手の登竜門とされる「第55回延岡西日本マラソン」は2月12日、延岡市役所前を発着点に日向市原町のニッポンレンタカー前を折り返す42・195キロの日本陸連公認コースで行われ、ディフェンディングチャンピオンの松尾選手がいったんは遅れながらも粘りの走りで最終盤の40キロ過ぎにトップに立ち、そのまま2時間13分36秒で2連覇のゴールを駆け抜けました。
大会には招待選手18人を含む579人がエントリー。正午の気温7・7度、風速4・5メートルという気温はまずまずながら、時折強風が吹くコンディションで行われました。
マラソンの怖さ、難しさを具現化したかのようなレースでした。
レース序盤はペースメーカーの佐々木悟選手(旭化成)を先頭に、松尾選手や初マラソンながら箱根駅伝などで実績のある服部翔大選手(埼玉・Honda)、先の大坂ハーフで63分台の走りを見せた奥谷裕一選手(徳島・大塚製薬)ら10数人が先頭集団を形成し、大会記録を上回る速いペースで進みました。
18キロ過ぎには先頭集団は6人に絞られ、ペースメーカーの佐々木選手が退いた25キロ過ぎには、服部、奥谷、松尾3選手による争いになりました。
27キロを過ぎると、ペースの落ちない服部、奥谷両選手に対し、松尾選手が次第に遅れ出します。門川町の中心部の緩やかな上りではさらに奥谷選手も遅れだし、服部選手が独走態勢に入りました。
ところが、レース最大の難所・船越峠を過ぎると、服部選手のペースが急激にダウン。一度は開いた奥谷選手との差が次第に縮まり、36キロ過ぎで奥谷選手が服部選手に追いつき前に出ると、今度は2人による一騎打ちの様相を呈しました。
一時は先頭の服部選手から200メートル近い差がついた松尾選手でしたが、ペースの上がらない2人に対し粘りの走りを維持し、少しずつ差を詰めていきました。
そして40キロ過ぎでまず服部選手を抜くと、今度は先頭の奥谷選手もかわしトップに浮上。逆に2人との差を広げの、旭化成勢としては初となる連覇のゴールに飛び込みました。
連覇の快挙に松尾選手は「勝負所で離れてしまい、どうしようかなと思ったが、とにかく自分に今できる走りをしようと思って走りきった結果が、こういう結果につながったと思います。日々支えてくれる人達のことを考えると、ここで気を抜いちゃいけないという気持ちでずっと走っていたので、最後まで力を振り絞って走れました」と笑顔で振り返りました。
上位の結果は次の通りです。
【男子】
①松尾良一(旭化成)2時間13分36秒②服部翔大(Honda)2時間14分19秒③奥谷裕一(大塚製薬)2時間14分25秒④千田洋輔(日立物流)2時間15分10秒⑤大谷健太(JFEスチール)2時間18分6秒⑥塚田空(SGホールディンググループ)2時間18分44秒⑦森井勇磨(同)2時間18分55秒⑧堀正樹(大塚製薬)2時間19分38秒⑨田口裕也(トヨタ紡織)2時間19分48秒⑩宮本潤(自衛隊体育学校)2時間19分54秒
【女子】
①佐藤紀子(ファーストドリームAC)2時間51分11秒②石本恵里香(福岡市消防局)2時間58分33秒③松本寿美(若ちゃんFRC)3時間7分50秒④岩崎聡子(下松市陸協)3時間13分8秒⑤足立結香(本城陸上クラブ)3時間13秒11⑥宮下亜弓(GRlab)3時間15分29秒⑦尾坂喜代美(はりきりマンボウ)3時間17分40秒⑧松本恵美子(同)3時間18分49秒⑨中尾雅子(クラブR2西日本)3時間22分16秒⑩相良幸(糟屋郡陸協)3時間22分39秒