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内藤藩御家中料理「八杯汁」を再現  ジャパンカレー亭  

延岡の郷土料理に「八杯汁」がある。延岡藩主だった内藤家の御家中料理で、かつてはお祝い事や法事などの際にどこの家庭でも作られていた、らしい。しかし、昨今はその存在すら知らない市民の方が断然多く、“幻の郷土料理”と言っても過言ではない。

名前の由来は、8杯も食べてしまうぐらいおいしいからとか、だし汁の分量が8杯(だし6、醤油1、酒1)使うからとか諸説ある。

八杯汁なる料理は全国にあり、延岡藩の領地だった大分県由布市にも郷土料理として伝わっているとか。内藤家は三河(愛知県)以来の徳川家の家臣(譜代大名)で、延岡に転封前は磐城平(現在の福島県いわき市周辺)藩主だったこともあり、三河や磐城、江戸表などで食べていた御家中料理が延岡にも伝わったと考えるのが自然かもしれない。

その八杯汁を看板料理の一つに掲げるお店が、延岡市出北の「JAPANカレー亭」だ。県産豚肉を使った「カツカレー」がメーンで、イカスミと白ワインで熟成した「黒カツカレー」、カツカレーに虎の縞模様のように黒カレーをかけた「タイガーカツカレー」がある。

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店主の甲斐忠男さん(64)は、ホテルやレストラン、結婚式場の厨房などで働いてきたシェフ歴46年のベテラン。「自分で店出すなら、自信あるカツカレー専門店しかない」と昨年5月にオープンした。

カツカレーと八杯汁の組み合わせは異質に感じられるが、さっぱりしたシイタケ出しが、シイタケや豆腐などの具材の味を引き立てており、カレーとの相性もいい。

米は北方町曽木産ヒノヒカリ、野菜は延岡の新玉ネギ、シイタケは祝子産の乾し椎茸と地元愛あふれる甲斐さんだけに、「この素晴らしい郷土料理が忘れられないように、若い頃に習ったレシピに自分なりのアレンジを加えて出している」と話す。今年3月には「八杯汁を楽しむ会」を結成。「延岡グルメ・八杯汁として全国に発信していきたい」と意欲を燃やしている。

 

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JAPANカレー亭

延岡市出北2丁目18番地

℡ 0982-32-6133

11:00~14:00、17:00~20:00

定休日 水曜日

※写真説明※八杯汁(150円)/タイガーカツカレー(720円)