延岡市熊野江地区特産「くまの香酢」が収穫最盛期

延岡市熊野江地区でしか自生しないとされる希少種の柑橘、「くまの香酢」が収穫最盛期を迎えています。日向地区特産の平兵衛酢よりひと回り小さく、強い酸味と爽やかな香りが特徴で、生産者は新しい柑橘ブランド化を目指しています。

くまの香酢は、万葉集に詠まれた日本古来の橘と、紀州みかんをルーツに持つ雑種の柑橘。大きさは直径約2センチ、重さ10~15グラムと小粒ながら、皮は薄く果汁がぎっしり。青実の時期には強い酸味とさわやかな香りがあり、熟れると甘みが増して味に奥行きが出るそうです。

 

10月9日には延岡市役所で市長への贈呈式が行われた。生産するクマノコーズ会会長の阿波野和彦さんら4人が訪問し、香酢を使った料理やジュースなどを市長に振る舞いました。

 

「熊野江地区では里山に自生する形で300年以上前から生産されていた」(阿波野さん)という香酢だが、近年は生産量が減少の一途をたどっていました。そこで8年前、阿波野さんらを中心に同会が発足し、原木から接ぎ木するなどして生産規模拡大を図ってきました。昨年度から出荷体制が整い、現在は60アールのほ場に約1000本の木があり、年間1トンの生産量を見込みます。

香酢と蜂蜜で作ったジュースや、香酢で作った和風ドレッシングをかけたタイのカルパッチョ、カレイの空揚げなどを試食した読谷山洋司市長は、「小ぶりで上品。焼酎に入れてもいい。平兵衛酢を上回る味で、大ヒットするかもしれない。熊野江地区の素晴らしいロケーションと一緒に売り出していきたい」と太鼓判。

阿波野さんは「熊野江地区は少子高齢化が進み、耕作放棄地も増えてきた。このくまの香酢を新しい地域資源に育て上げ、若者の雇用や定住を促し、子供たちが誇りを持てる魅力的に地域にしていきたい」と抱負を語っています。

JA延岡ふるさと市場、道の駅北川はゆまなどで販売中。

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