国内推薦決定でシンポジウム 祖母・傾・大崩エコパーク

大分、宮崎両県の6市町にまたがる祖母・傾・大崩ユネスコエコパークの国内推薦決定を記念したシンポジウムが11月26日、大分県豊後大野市内で行われました。両県の関係者ら約250人が出席。「次世代につなぐ祖母・傾・大崩の自然とくらし」をテーマに、講演や体験発表、パネルディスカッションを通して、来夏に予定される登録地決定に向けて、エコパーク登録がもたらす意義や可能性を探り、圏域の一体的な気運醸成を図りました。

 

大分県、宮崎県と佐伯市、竹田市、豊後大野市、延岡市、高千穂町、日之影町などで構成する祖母傾ユネスコエコパーク大分・宮崎推進協議会が、エコパークの理念や住民生活との関わりについて知り、貴重な資源を守り活かしていくことの大切さを考えようと開催しました。

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基調講演では、日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会委員で総合地球環境研究所教授の佐藤哲氏が「ユネスコエコパークと地域づくり-国際的な仕組みを使いこなす-」と題して話ました。

その中では、エコパークには厳格に保護すべき「核心地域」と人間活動から核心地域を保護する「緩衝地域」、人が暮らしを営み環境に配慮した産業活動などが行われる「移行地域」があり、持続可能な地域づくりを進めるには、移行地域で展開される多様な活動が需要と指摘。このエリアは人口約9万千人が住む広大な移行地域があり、多様な潜在的資源を目に見える形で活用できるポテンシャルを持ち、エコパークを活かして持続的な発展ができる地域であるとし、「科学者や研究者(地域共在型・訪問型)、関係する行政、他のエコパーク登録地域とのネットワークを通じて地域の活性化が期待できる」などと話しました。

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続く体験発表では高千穂町向山秋元地区に住む小学校4年の飯干拓海君が、日本一美しいとされるニシキキンカメムシの成虫を県内で初めて発見したことや、秋元での暮らしぶりなどを紹介。「秋元地区には自然がたくさん残っていて、地区の人達はそれを大切に守っています。その秋元を好きになって何回も来てくれる都会の人達がたくさんいます。僕は将来も昆虫や動物、植物などが生きていけるように秋元の大切な自然を守っていきたい。秋元のことをたくさんの人に知ってもらい、好きになってもらえるように頑張ります」と決意を述べました。

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「次世代につなぐ地域の取り組み」と題したパネルディスカッションは、推進協議会の杉浦嘉雄共同代表をコーディネーターに、6市町の代表6人が登壇しました。宮崎県側からは延岡市の中原史貴さん(祝子川温泉美人の湯支配人)、高千穂町の濱山幸波さん(だごみや工房メンバー)、日之影町の高見昭雄さん(癒しの森の案内人の会代表)が、それぞれの取り組みを紹介し、意見交換しました。

中原さんは「大崩山に惚れ込み、何年か通ううちに住んだ方が早いと思い、2013年に祝子川にIターンしました。非常に素晴らしい環境に住まわせてもらっています。米と酒以外はだいだい自給できています」。濱山さんは「宮崎市出身で学生の時から集落営農に関心があり、22歳の時に高千穂町に惚れ込み、Iターンで移住しました。IターンやUターンしてきた友達と作付が終了したハウスで音楽ライブするなど、農業の質感、空気感を味わってもらう活動をしています」。高見さんは「生まれも育ちも日之影です。人間が始まって99%は森の中で生活していた。そういうDNAが皆さんの中にあり、森にはストレスを下げたり、免疫を上げたりする癒しの効果があります。それを上手く活用して健康な生活を送っていただこうと考えています」などと述べました。

事前に募集し選考した「祖母傾・大崩山系フォトコンテスト」の表彰式もあり、157点の応募の中から選ばれた最優秀賞1点、優秀賞2点、佳作6点の撮影者に両県の共同代表から表彰状と副賞が手渡されました。

フォトコンテストの結果は次の通りです。

【最優秀賞】「宇目町の雲海」深田載雄さん(大分県豊後大野市)

【優秀賞】「晩秋の土呂久」戸高一さん(高千穂町)▽「天空の世界」鈴木清次さん(小林市)

【佳作】「ウズメの舞」甲斐靖一さん(延岡市)▽「清婉」渡辺太郎さん(大分市)▽「白水」足立哲伸さん(豊後大野市)▽「大自然の力」長友一彦さん(新富町)▽「深山幽谷の春」馬場和久さん(延岡市)▽「クマタカ」高萩和夫さん(延岡市)

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