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天を焦がす火柱に歓声 1300年の歴史を持つ熊野神社(延岡市)火祭り

 延岡市須佐町(すさまち)の勇壮な火祭り、「歳頂火」(せとき)が2月8日夜、熊野神社の境内で行われた。地区住民ら大勢の観客が見守る中、杉丸太や杉の葉で組まれたヤマに火が入り、天を突くような巨大な火柱が上がると、写真を撮ったり、手を合わせて1年間の無病息災を願ったりする人の姿が見られた。

 新しい年の無病息災と五穀豊穣を願う行事で、1300年の伝統がある。本来は旧暦1月15日の小正月(こしょうがつ)の前日に行われていたが、最近は小正月に一番近い土曜日に実施されている。これまで1度も欠かさず受け継がれ、灯火管制がしかれた戦時中は、真昼間に行われたこともあった。

 午後6時半から熊野神社の神殿で神事があり、氏子らが神前に玉串を捧げたあと、玉置重徳(たまおき・しげのり)宮司が、木のロクロを使って火を起こした。

 採火された火は、行灯(あんどん)に移され、さっそく玉置宮司が、社殿下の歳頂火ヤマに点火。ヤマに移された火はあっという間に巨大な火柱となり、漆黒の夜空を焦がした。歳頂火ヤマを取り囲んだ見物客は、あまりの熱さに後ずさりしながら、立ち昇る炎を見上げていた。

 モチ焼きも観客の楽しみの一つ。竹串にさして焼いたモチを食べると、その年は病気をしないという言い伝えがあり、3メートルほどの長い竹串の先に刺したもちを火柱にかざして焼く姿があちこちで見られた。

 歳頂火は、豊作祈願の行事でもあり、灰を持ち帰って田んぼや畑にまくと、その年は豊作になるといわれている。