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水道料金値下げの条例改正案を可決 延岡市議会

 延岡市の水道料金改定をめぐる問題で延岡市議会は11月18日、臨時市議会を開き、読谷山洋司市長提案の値下げ案を賛成多数で可決した。これにより料金改定をめぐり9月から2カ月にわたり続いていた市当局と市議会の対立構造が一応の終着を見た。元々、消費税値上げ分を含む改定後の水道料金が適用されるのは、12月徴収分からだったため、滑り込みで間に合った形だ。

 市議会は9月13日の本会議で、水道料金を引き下げる市長提案の条例案に対し、消費税2%分の引き上げとなる修正案を提出し可決。市側はその後、市民説明会などの結果を基に同市議会では初となる「再議」を提案したが、反対多数で否決されていた。

 市長が提案した条例改正案は、すでに決定している老朽化した水道管の耐震化などの計画を変更することなく、新たに国の財政支援制度を活用し1億8640万円分の水道料金を引き下げるというもの。これにより水道基本料金の12月使用分からが税抜きで平均2・53%、税込みで0・77%引き下げにつながる。

 これに対し市議会側は、「来る南海トラフなどの災害に備え一刻も早い耐震化が急がれる。料金引き下げの是非については多くの市民の意見を聞いた上で判断すべきもので、現時点での判断は時期尚早」――などを趣旨とした附帯決議を付けた上で、水道料金引き下げ部分を削除し、消費税アップに伴う値上げ分についてのみ条例を改正する修正案を提案した。

 修正案の可決を受け延岡市は9月17、18日に市民説明会を開催したほか、ホームページや上下水道局の窓口で市民からの意見を募った。その結果、寄せられた495件の意見のうち、市長原案への賛成は251件(50・7%)、議会修正案への賛成が191件(38・6%)、その他が53件(10・7%)だった。

 この結果を受け読谷山洋司市長は9月20日、市議会の松田和己議長に、修正案の審議のやり直しを求める「再議書」を提出。9月30日の9月議会最終日に再議が行われたが、反対多数で再議されなかった。

 その後、市側は移動市役所などを通じ、市民の意見を聞く一方、市議会側も水道料金改定に関する説明会を開催するなどして水道料金に関する論点を説明してきた。

 臨時市議会では市長が再提出してきた「水道事業給水条例の一部を改正する条例の制定」の審議を、産業建設委員会(上杉泰洋委員長)に付託。委員会では、今回の再提案に際し、市側が廃止した水道施設の撤去計画を延長するなどして、耐震化を進める予算を年間2000万円確保するなど、「料金値下げとともに、さらなる耐震化を進める」とした読谷山市長の主張を裏付ける根拠を提示してきたこともあり、賛成多数で原案を承認した。

 本会議では、自民党きずなの会の北林幹雄議員が反対討論、令和のべおか市民派クラブの河野治満議員が賛成討論をするなど議論が分かれるなか、議長を除く26人の議員による起立採決の結果、「賛成」14に対し「反対」12の僅差による賛成多数で原案が可決された。

 水道基本料金の改定は12月使用分からで、税抜きで平均2・53%、税込みで0・77%引き下げになる。

 読谷山市長は選挙時の公約の一つとして、水道料金の値上げの凍結を掲げ、就任後の平成30年3月議会で前年12月議会で決まった料金引き上げを見直す条例案を提案したが、議会の反対で否決され、昨年7月から料金が平均14・9%値上げされた経緯がある。