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天を焦がす炎でお出迎え  「師走祭り」が開幕・美郷町南郷

燃え上がる杉櫓の炎が天を焦がしました――。美郷町南郷の神門神社と比木神社(木城町)に伝わる百済王伝説に由来する「師走祭り」が、1月20日から始まりました。90キロにおよぶ巡行など1300年も前から守り継がれてきた祭りで、22日までの3日間にわたって開かれます。初日は南郷神門の一本鳥居前の水田で26基の杉櫓による「迎え火」が炊かれ、天を焦がす炎が比木神社からの一行を出迎えました。

祭りは、戦いに敗れ日本に逃れた末に日向市金ケ浜に流れ着き、南郷に移り住んだ父・禎嘉王と、高鍋町蚊口浜に流れ着き木城町に移った、その子・福智王が一年に一度、南郷で再会するという伝説にちなみます。異国の地で離ればなれに祭られている王族の御霊をなぐさめる形で行われます。

初日の20日は、福智王が南郷を訪ねる「上りまし」といわれる祭事が繰り広げられました。朝、比木神社を出発した橋口清文宮司、粟田吉博氏子総代ら一行18人が、禎嘉王が漂着した日向市の金ケ浜で海に入り、「海中みそぎ」で身を清めた後、車で同市東郷町の卸児、坪谷、中水流など王族ゆかりの地を巡りながら、追討軍との戦いがあった伊佐賀神社で出迎えの神門神社一行(中塩屋敏幸氏子総代)と合流しました。

そこからは徒歩で、途中、王の墓といわれる南郷区下名木の「塚の原古墳」では両社のご神体が並べられ、式典と神楽、地元の人たちによる鶏鍋とおにぎりのお接待が行われました。

さらに石田の田原元村長宅前の小丸川で、地元の入り厄者によるみそぎなどが続き、神門の一本鳥居前の水田にはたくさんのやぐらが組み上げられ、行列はこうこうと空を焦がす迎え火の中を神門神社に向かいました。

  

2日目の21日は、王族を助けたといわれる地元豪族・ドンタロさんを祭る塚でのお礼祭りや小丸川での洗濯行事、夜神楽奉納など行われます。

最終日の22日は「下りまし」で、午前10時半ごろからお別れ式。神門神社で、別れの悲しみを隠すために行ったといわれるヘグロ塗り、祭典があり、地元の人たちが炊事道具を手に、行列が見えなくなるまで「オサラバー」と叫んで見送り。来年の再会を誓います。

詳しい問い合わせは美郷町役場南郷支所企画情報課(電話0982-59-1601)へ。